ロゴひとりっぷ卒業旅行

最大のピンチinヴェネチア|イタリア編

2月6-7日(日)晴れ

”トラブルというものは続くものなのだろうか。イタリアがそういう国なのだろうか。”

ローマからヴェネチアまでは約5時間半。9時過ぎにローマをでてヴェネチアに到着したのは15時前頃だった。はじめて訪れた、運河の町ヴェネチア。駅をでて眼前に広がる運河を見て大変な爽快感をおぼえた。天気も快晴だ。
「何かいいことありそうだな♪」
と思っていた矢先にキャリーバックのタイヤが壊れた。

宿はやっぱりユースホステル。ヴェネチアのYHは離れ島にあるのでワポレット(船)で行く。ワポレットの1日券(18000Lit=¥1170高い)を購入した。駅からは30分ぐらいかかった。ワポレットは見た目より遅い。
YHは心配に反してがらがらっだったためすんなり予約できた。 さっそく市内観光へ。サンマルコ寺院まで行き、そこから街を散策しながら駅まで戻った。細かい路地が多くまるで街全体が迷路のようで、アミューズメントパークに来たみたいで楽しい。
でもここに住むことを考えるとかなり不便な街なのだろうなと思った。移動手段が船、というのが遅々として煩わしい。
いや、のんきなイタリア人はそんなこと気にしないだろう。
駅からワポレット1番に乗って街をぐるっと遊覧した。暗くなり霧がたちこめてきて、街がとても幻想的に見えた。外はとっても寒かったが(サンモリッツより寒い!)風を切るワポレットの先頭にあえて座った。寒さが気にならないほど、旅の余韻で胸がいっぱいだった。

19時頃YHに戻り夕食をとった。ユースで提供している夕食メニューは、パスタ(ペンネアラビアータ)、メイン(チキン+ポテトフライ)+パン+デザート(フルーツ)で14000リラ(約910円)と格安。メインは2種類から選べるし、それぞれ単品でも注文できる。ボリュームがあってイタリアの味を楽しめた。
日本人の女性5人組が隣で食事していたので挨拶して仲間に入った。みんな私より 年下だった。その中の1人が別の国でパスポートをとられたらしく、その国からでられないので置いてきてファックスで連絡を取り合っているということだった。やはり旅にトラブルはつきものなのだなぁ。
旅の話をしながら楽しい時間を過ごした。

事件はその夜に起こっていた。

翌朝、朝食を済ませチェックアウトをして駅に向かう。今日の予定は今夜の夜行列車で南フランスのニースを経由しスペインに入るといったものだ。駅で予約をしようと鞄の中からユーレイルパスをさがす。
が、しかしいくら探してもパスは見つからなかった。それどころかパスを含めた貴重品袋そのものがないのだ。貴重品袋にはレイルパスのほかにブリットレイルパス、ポンドのトラベラーズチェックそして最も大事な航空券が入っていた
「・・・やられた」
私は急いでワポレットでYHに戻った。30分の道のりがとても長くじれったかった。
YHにはもうあまり人は残っていなかった。窓口で事情をつげて、あらためて部屋を、ごみ箱を、トイレをと探した。もしかしたら犯人はいらないものは捨てているかもしれないと考えた。受付のお兄さんも探すのを手伝ってくれた。
しかし見つからない。
いくら、最大のピンチ。

その時、YHロビーには2人の日本人男性がいた。私がトラブっている様子を見ていた彼ら(YさんSさん)に事情を話したら、親切にもいろいろと助言をしてくれた。 とても旅慣れているようだ。
とにかく今日ヴェネチアを離れるわけにはいかなくなった。まずはYHをもう一泊予約してロビーで対処を考える。
トラベラーズチェックは再発券できる。パス類はあきらめるしかないだろう。一番問題なのは航空券だ。とりあえず日本の代理店に再発券可能なのか問い合わせる必要があるが、時差の関係であちらは真夜中。すぐには連絡できない。
それで、まずしなければならないこと、今できることはトラベラーズチェックの再発行手続きだ。 電話で問い合わせて指示を受ける。取り次ぎが英語だったため少し手間取ったが再発行には盗難届(ポリスレポート)が必要だといわれた。保険のこともあるので盗難届をもらうために警察に行かなければならなくなった。YさんとSさんも一緒に行ってくれた。 警察署を見つけたが取り込み中で1〜2時間待てと言われたので、私たちはマクドナルドに入り軽食をとって時間をつぶした。YさんとSさんはかなりの旅の達人だった。Yさんはもう1年間も旅を続けているとかで、その話はとても興味深いものだった。Sさんもすでに数ヶ月の長旅を続けてるとか。 いろんな人がいるんだなぁ。
警察署に戻り待合室で待っていると順番が来たので私は1人、中へ入った。超緊張。部屋には2人の警察官がいた。最初はイタリア語で何か言っていてさっぱり?だった。それを悟られて、「Do you speak English?」ときかれた。「Only a little」私はいつものセリフで答えた。パスポートを出し、なんとか片言の英語で被害の状況を説明してだいたい理解してもらった。何かの用紙に自分の名前や国名、住所などを記入した。そしてイタリア語のポリスレポートを受け取った。手続きは30分ぐらいだった。
再びトラベラーズチェック(トーマスクック)に電話をしてレポートを手に入れたことを報告する。レポートの番号をきかれて答えると、問い合わせ番号とトラベラーズチェックの受け取りのオフィスの指示を受けた。発券は明日になるとのことだった。
トラベラーズチェックの件が一段落し、お世話になったYさんとSさんとはいったん別れた。同じYHに滞在しているので夜また会うだろう。私はYHに再びチェックインし、同じベットを希望したが空いていなかったため違う部屋になった。
食堂で夕食をとっていると昨日の5人組と顔を合わせたのでまた一緒してお互いの状況をおしゃべり。YさんSさんも戻ってきて一緒に話をした。会話がはずんで気がついたらもう22時だった。
でも心は不安でいっぱいだった。この後移動はどうしよう。航空券は再発行できるのだろうか。。。
この日はシーツもしかずに就寝した。

翌日。指定されたサンマルコ寺院近くのトーマスクックオフィスで竿発行されたトラベラーズチェックを無事受け取る。小さな成功が少し気分を上向きにさせた。
さて、これからどうするか。
レイルパスがなくなったことで移動の足を考えなければならない。そのつど払っていったらかなり高額になってしうだろう。
昨日Yさんに「ユーロライン」という国際バスの情報を教えてもらった。列車よりバスの方がだいぶ割安に移動できるらしい。そこでヴェネチアのバスターミナルに行って詳しい情報がないか探してみることにした。しかし総合窓口だったのでユーロラインの情報は詳しく分からなかった。
これからどういうルートで行くかも問題だが、それ以上に考えなければならないのは航空券だ。もし再発券できるなら最終的に2月29日までにロンドンにたどり着ければいい。ロンドンアウトのチケットだからだ。しかし再発券が不可能だとしたら、どこか安い旅行会社で格安航空券を見つけて新たに購入しなければならない。その場合、予算も限りがあるのでいつまで旅を続けるかも考え直さなければならない。
とにかく航空券の再発券が可能かどうか確認しないと何も決められない。明日の朝、航空券を購入した旅行代理店に電話して確認しよう。
どちらにしろもうヴェネチアに用はないのでとりあえず大きな町であるミラノにでることにした。ミラノならどこへでるにも便利だからだ。ユーロラインのオフィスもあるらしいのでそこも尋ねることができる。ミラノまでは仕方なく乗車券を購入して列車で行くことにした。
「もしかしたらどこかに捨ててあるかもしれない。探せば見つかるかもしれない」
そんな思いが残っていたため、ヴェネチアを離れるのに後ろ髪を引かれた。